秩父市 羊山公園

測定日時:2014年10月11日(土) 9時40分~13時30分
測定場所:羊山公園 (秩父市大宮)
天  気:晴れ 無風
測定方法:地上高50cmを歩行による移動測定、地上高50cm、地表付近の定点測定
測定機器:ポニー工業 GPS連動型空間線量率自動記録システム(HSF-1)

秩父市街地の東に位置する羊山丘陵は、北側の見晴しの丘と南側の芝桜の丘に分かれます。芝桜の丘は、有名な芝桜以外にも、ふれあい牧場やわんぱく広場などがあり、整備された芝生広場や東面の下にはテニスコートや菖蒲園などもあります。今回は、測定の要望のあった芝桜の丘を中心にと始めたのですが、結局全体を測りました。ところで、今回の測定でもホットスポットを発見しております。時の経過とともに放射線量は低下傾向にありますが、放射能がきれいになったわけではありません。やはり311後を生きる私たちは、私たちが生活する場所(地域)の放射線汚染状況を知ることが大切と思います。また、次代を背負う子どもたちへの責任であると思います。

 

1.移動測定

(1)ふれあい牧場と芝桜の丘放射線量マップ

①~③は定点測定場所です。

 

(2)わんぱく広場及び東側斜面ならびにテニスコート周辺放射線量マップ

       ④~⑥は定点測定場所です。

 

(3)南側丘陵放射線量の移動平均値

 

   ①ふれあい牧場          0.053μSv/h
   ②芝桜の丘            0.053μSv/h
   ③わんぱく広場と南側隣接した芝生 0.045μSv/h
   ④東斜面とテニスコート、菖蒲園  0.059μSv/h
   ⑤南丘陵移動総平均        0.055μSv/h

(4)見晴しの丘放射線量マップ

⑦~⑨は定点測定場所です。

 

(5)北側丘陵放射線量の移動平均値


   ①見晴しの丘および東斜面     0.053μSv/h
   ②第2駐車場           0.070μSv/h
   ③北側丘陵移動総平均       0.055μSv/h

 

(6)羊山公園の移動総平均値
                    0.055μSv/h

2.定点測定

①ふれあい牧場中央(砂利)

連休初日の土曜日というのに観光客は見当たりません。羊も一匹だけ?しかし何回かこの近くを通過した時には数組のファミリーがおり、羊もたくさん出ていました。客が来ないと羊は出さないということか。この場所はビュースポットなのでしょう。柵の中に入り込んだようになっています。放射線量が少し高いのが気になります。

 

②芝桜の丘中央(アスファルト)

芝桜の丘の中央で一番窪んだ所です。右側の側溝はこの窪地全体の排水がなされているようなので、測定しました(下の写真)。手が加えられている分、放射線量は低くなっていると思います。

 

③芝桜の丘の側溝(一番窪んでいる場所)

④わんぱく広場(土)

森の中にいろいろな遊具が配置されています。奥に神社がありその奥も含めて、それほど手が入ってない感じですが、羊山公園で一番低い放射線量でした。下の写真も同様で、お子さんとお弁当を広げている母娘がいましたが、心配ない放射線量といえるでしょう。

 

⑤わんぱく広場隣接の芝生広場(土、芝)

⑥テニスコート南駐車場山との境(土、枯れ葉)

わんぱく広場の東斜面の放射線量は、それほど低くなく、この場所は、山からの水が流れ出ている所です。

 

⑦見晴しの丘東斜面中間(土、草)

見晴しの丘山頂を一周すように測定していたのですが、斜面を下ってしまい下の道から登り口を見つけ登っていったのですが、途中で警告音(0.1μSv/h以上で鳴るように設定)、この場所がどうして高いのかわかりませんでした。

 

⑧見晴しの丘第2駐車場隅(土、枯れ葉)

⑦の定点測定の場所をさらに登り駐車場に出た所です。この駐車場で一番低くなっている場所で、雨水や土砂がここに溜まると思われます。下のスペクトルグラフでは、セシウム137のピークがはっきり確認できます。

 

⑨見晴しの丘頂上芝生広場(芝)

芝桜の丘と違い観光客がたくさんいます。なるほど、秩父市街が目の前に広がり絶景です。

 

3.まとめ


子どもを遊ばせることが多いわんぱく広場及び隣接する芝生広場の放射線量は、羊山公園の中では比較的に低い方でした。羊山公園全体の移動平均値は、0.055μSv/hで、秩父地方庁舎のモニタリングポスト(当日の同じ時間帯は0.048μSv/h)より高いですが、測定器の設置場所(モニタリングポストは固定設置)、測定位置(高さ)等によると思います。全体的傾向としては、東斜面が高いと思われます。これは、斜面散策路の手入れが行き届いていないことが原因と考えられます。また。ホットスポットに関しては、駐車場で雨水や土砂が流れて溜まりやい場所でセシウムの濃縮が起こります。今回の場所もまさにそのような地形でした。こういう所で、子どもが土いじりでもしていたらと考えるとぞっとします。実は、今回定点測定した場所以外にも同じように高いところがありました。秩父市の場合、地上1mの空間線量が0.23μSv/h以上でないと除染はしないそうなので、現状はそのまま放置されています。(吉田)

4.追加(10月30日)

 

ホットスポットの追加をします。場所は、第6駐車場です。

前回、定点測定を忘れていた羊山公園芝桜の丘第6駐車場の隅を、2014年10月19日に計測しました。結果は写真の通りですが、看過できる値ではないので、見晴しの丘第2駐車場のデータとともに秩父市に土砂等の撤去をお願いしました。

 

秩父市の回答は、「市有施設における放射線量の高い箇所の対応方針」における除染の要否の判断目安というものがあるそうで、以下の基準に当てはまらない場合は清掃しないそうです。

①施設の平均的な放射線量が毎時0.23μ㏜を超えた場合
②局所的に放射線量が高い箇所は、毎時1μ㏜を超えた場合

 

この基準って高いですね。局所で毎時1µSv/h以上というと、最近私たちが発見しニュースにもなった、東松山市の岩鼻運動公園の不法投棄みたいなケース以外ないと思われます。ちなみに日本の法律で禁止されている年間1ミリシーベルト基準の単純比較で9倍弱です。駐車場の隅とはいえ子どもが土いじりをする可能性があります。

 

●写真の計測値に対応したcpsとスペクトル

下から地上付近、50cm、100cmの高さで、それぞれ60秒の平均化を行いました。セシウム134、137のピークがハッキリ確認できます。福島第一原発事故由来の放射線であることを証明しております。秩父市の再考を期待したいと思います。